相続放棄した家の固定資産税は払わなくていい?役所から通知が来た時の断り方
こんなお悩みはありませんか?
「相続放棄したのに、役所から固定資産税の通知が届いた」
「払わないといけないのか、それとも断れるのか判断できない」
「無視したら差し押さえになると聞いて怖い」
結論からお伝えすると、相続放棄が完了していれば、原則として固定資産税を払う必要はありません。ただし、時期によっては支払い義務が発生するケースがあり、また対応を誤ると相続放棄自体が無効になるリスクもあります。
この記事では、役所から固定資産税の通知が届いた場合の正しい対処法を、放棄前・放棄後のケース別に弁護士が解説します。
📋 この記事でわかること
相続放棄すれば固定資産税を払わなくていい理由(原則)
例外的に支払い義務が残るケース(台帳課税主義の罠)
役所に通知を断る方法と持参すべき書類
「相続財産から払う」と相続放棄できなくなる危険
固定資産税の通知が「相続を知った日」になるケースへの対応
目次
相続放棄すれば、固定資産税は原則払わなくていい
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を「所有している者」に課税される税金です(地方税法343条)。
相続放棄をすると、「初めから相続人ではなかった」ものとみなされます(民法939条)。つまり、不動産の所有権を一度も取得しなかったことになるため、固定資産税の納税義務も生じないのが原則です。
では、なぜ相続放棄をした人に固定資産税の通知が届くのでしょうか。
通知が届く理由:役所は相続放棄を自動的に把握しない
固定資産税の納税通知書は、市区町村が管理する「固定資産課税台帳」に基づいて送付されます。役所は登記簿の情報をもとに台帳を更新しますが、家庭裁判所で相続放棄の手続きが行われたことを、役所が自動的に把握できるわけではありません。
そのため、相続放棄が完了していても、課税台帳上は「相続人=新たな所有者」として登録されたまま通知が送られてくることがあります。これは役所のシステム上の問題であり、通知が届いたからといって必ずしも支払い義務があるわけではありません。
例外:支払い義務が残る可能性があるケース(台帳課税主義)
ただし、次のケースでは相続放棄をしていても固定資産税の支払い義務が残る場合があります。
❌ 支払い義務が残る可能性があるケース
① 年をまたいで相続放棄が完了した場合
固定資産税は「1月1日時点で課税台帳に登録されている者」に課税されます(台帳課税主義)。たとえば12月に亡くなり、翌年2月に相続放棄が受理された場合、1月1日時点では相続人が課税台帳に登録されていることになるため、その年の固定資産税について支払い義務が生じる可能性があります。
② 登記名義が相続人に変更されていた場合
債権者が「債権者代位登記」を行うことがあります。この場合、登記名義が自分に変わってしまい、1月1日時点で登記簿上の所有者となっているため、課税対象になることがあります。
具体例
父が12月28日に死亡。子どもが翌年2月5日に相続放棄を受理された。この場合、1月1日時点では課税台帳に子どもが登録されているため、その年度の固定資産税について支払い義務が生じる可能性がある。
【ケース別】役所から通知が来た時の対処法
ケース① 相続放棄が完了している場合
相続放棄の受理後に役所から通知が届いた場合は、放棄を証明する書類を市区町村の窓口に持参して、課税台帳から名義を抹消してもらいます。これにより翌年以降の通知が届かなくなります。
✅ 役所の窓口に持参する書類
▶相続放棄申述受理通知書(家庭裁判所から自動的に送付される)
▶または相続放棄申述受理証明書(家庭裁判所に申請して取得する)
※どちらかを提示すれば相続放棄が完了したことを証明できます。書類を確認した役所は課税台帳から登録を抹消し、納税通知書の送付を停止します。
ケース② まだ相続放棄の手続きをしていない場合
固定資産税の通知が届いた時点で、まだ相続放棄を行っていない場合は急いで対応が必要です。
⚠️通知で初めて相続を知った場合は3か月以内に動く
固定資産税の通知を受け取ることで、初めて被相続人の死亡を知り、自分が相続人になっていることを知るケースがあります。この場合、通知が届いた日が「相続を知った日」となり、その日から3か月以内であれば相続放棄の申述ができます。期限の数え方や起算日の考え方については、相続放棄の期限・起算日の解説記事も参考にしてください。通知を放置せず、早急に弁護士に相談することをお勧めします。
ケース③ やむを得ず支払いが必要な場合
台帳課税主義の適用により、やむを得ず固定資産税を支払わなければならないケースでは、立替払いをした後に本来の納税義務者(実際に相続した方)に請求することが可能です。これを「求償権」といいます。
ただし、相続人全員が相続放棄した場合などは回収が困難になることもあります。詳細は弁護士にご相談ください。
絶対にやってはいけない「相続財産から支払う」罠
役所から督促状が届いて焦り、被相続人の預貯金(相続財産)から固定資産税を支払ってしまうケースがあります。これは非常に危険です。
❌ 相続財産から払うと「単純承認」になるリスク
民法921条では、相続人が相続財産の一部でも「処分」した場合は、単純承認(すべてを無条件に相続する)したものとみなされます。相続財産から固定資産税を支払うことは、財産の「処分」に該当する可能性があります。
単純承認になってしまうと、相続放棄の申述ができなくなり、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金・ローンなど)もすべて引き継がなければならなくなります。
→ 固定資産税の支払いを求められたら、まず弁護士に相談してから対応してください。
通知を無視すると差し押さえになる?
「どうせ払わなくていいから無視すればいい」と考えるのは危険です。
役所は相続放棄の事実を把握していないため、無視し続けると督促状・催告書が届き、最終的には財産の差し押さえに発展することがあります。延滞金も自動的に加算されていきます。
正しい対応は「無視せず、放棄を証明して解決する」ことです。書類を持参して窓口で説明すれば、課税台帳から抹消してもらえます。対応が早いほどトラブルは少なくなります。
まとめ
この記事の要点を整理します。
▶相続放棄が完了していれば、原則として固定資産税の納税義務はない
▶役所は相続放棄を自動的には把握しないため、証明書類を提出して課税台帳の抹消を申し出る
▶1月1日をまたいで放棄が完了した場合は例外的に支払い義務が残ることがある(台帳課税主義)
▶通知で初めて相続を知った場合は「その日から3か月以内」が放棄の期限になる
▶相続財産から固定資産税を払うと「単純承認」とみなされ、放棄できなくなるリスクがある
▶通知を無視し続けると差し押さえになることもあるため、放置は厳禁
役所からの通知は、相続放棄の期限を知る重要なきっかけになることもあります。「自分には関係ない」と思わず、まず弁護士に状況をご相談ください。
役所から固定資産税の通知が届いた方へ
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