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兄弟姉妹の借金を背負いたくない!「兄弟姉妹まとめて相続放棄」をスムーズに進めるコツ

こんなお悩みはありませんか?

親が亡くなり、多額の借金があることがわかった

兄弟姉妹みんなで相続放棄したいが、手続きが複雑でどうすれば良いかわからない

自分だけ先に放棄してしまって、他の兄弟と揉めないか心配

相続放棄は、きょうだい全員でまとめて手続きすることが可能です。まとめて手続きする場合には、書類の一部を共有できるため、個別に手続きするよりコストも手間も省けます。まとめて手続きしない場合には、進め方によってはきょうだい間のトラブルにつながることもあります。この記事では、弁護士の立場から「兄弟姉妹まとめて相続放棄」を確実・スムーズに進めるコツをすべて解説します。

📋 この記事でわかること

兄弟姉妹まとめて相続放棄できる条件と、できないケース

まとめて手続きするメリットと節約できる費用の目安

「第1順位」と「第3順位」で変わる必要書類の違い

一人だけ先に放棄したときのリスクときょうだいトラブルの防ぎ方

全員放棄した後も残る「管理義務」への対処法

兄弟姉妹まとめて相続放棄はできる?結論と条件

結論から言うと、同じ相続順位の兄弟姉妹であれば、まとめて相続放棄することは可能です。

ただし、重要な条件があります。まとめて手続きできるのは「同じ順位の相続人」に限られます。たとえば、子ども(第1順位)と親(第2順位)は同時に相続放棄の手続きをすることはできません。先順位の相続人の相続放棄が完了してから、次順位の相続人が手続きを行う流れになります。

⚠️まとめて放棄できないパターン

被相続人の子ども(第1順位)と、被相続人の親(第2順位)は、同時に相続放棄の申立てをすることができません。子どもの相続放棄が受理されて初めて、親に相続権が移り、親が相続放棄の手続きを開始できます。誰が同順位かわからない場合は、まず専門家に確認することをおすすめします。

「兄弟姉妹の相続放棄」には2つのパターンがある

実は、「兄弟姉妹の相続放棄」という言葉には、状況の異なる2つのケースが含まれています。この違いを理解しておくことが、手続きをスムーズに進める第一歩です。

【パターンA】親が亡くなり、子どもたちが相続放棄するケース

相続人の立場:第1順位(子)

必要書類:比較的少なく済む

例:お父さんが亡くなり、長男・次男・長女の3人がまとめて相続放棄する

【パターンB】兄や姉が亡くなり、残りの兄弟姉妹が相続放棄するケース

相続人の立場:第3順位(被相続人の兄弟姉妹)

必要書類:非常に多い(第1・第2順位の相続人がいないことを証明する戸籍が必要)

例:独身の兄が亡くなり、弟・妹が相続放棄する(兄には子も親もいない場合)

令和6年3月1日から戸籍証明書等の広域交付制度が開始されました。この制度により、本籍地以外の市区町村の窓口でも、本人のみならず直系(親や子など)の戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになり非常に簡便になりました。そのためパターンAの場合には戸籍類が集めやすくなりました。

しかし、広域交付制度は、兄弟姉妹の戸籍類の取得には使えません。そのためパターンBについては、やはり戸籍類の取得に時間と費用がかかることが多いと思います。

兄弟姉妹がまとめて手続きをするメリット

相続放棄は相続人それぞれの権利であるため、各自でも手続きできます。それでも、全員でまとめて進めることをおすすめする理由があります。

メリット1書類の収集コストを大幅に削減できる

兄弟姉妹がまとめて申立てをすると、被相続人の戸籍謄本など全員に共通する書類は1セットで足ります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本は取得に数千円かかることもあります。それぞれが別個に手続きすると、同じ書類を揃えてしまい無駄な手間と費用がかかってしまいます。

メリット2きょうだい間のトラブルを防げる

相続放棄は「他の相続人の同意」は不要ですが、一人だけが黙って手続きを進めると、後から知った兄弟姉妹から「なぜ事前に教えてくれなかったのか」と責められる可能性もあります。他の兄弟姉妹にも知らせたうえで、全員で足並みをそろえて相続放棄をすることで、きょうだい間の不要なトラブルを防ぐことができます。

兄弟姉妹まとめて相続放棄の手続きの流れ

基本的な流れは3ステップです。書類さえ揃えば、窓口でも郵送でも手続きできます。

STEP 1財産調査・放棄するか判断する

プラスの財産(預金・不動産)とマイナスの財産(借金・保証債務)を確認し、相続放棄すべきかを判断します。一度相続放棄が受理されると取消しはできませんので、財産調査は慎重に行いましょう。期限は「相続開始を知ったときから3か月以内」です。調査が終わらない場合は期限の延長申請も検討してください。

STEP 2必要書類を収集し、申述書を作成する

兄弟姉妹で情報を共有し、共通書類をまとめて取得します。相続放棄申述書は、原則として1人1通ずつ個別に作成が必要です。収入印紙(1人800円)も各申述書に貼付してください。

全員共通で必要な書類(1セットでOK)

被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

被相続人の住民票除票または戸籍附票

申述人(相続放棄する人)それぞれの戸籍謄本(各自1通ずつ必要)

⚠️第3順位(被相続人の兄弟姉妹)が放棄する場合は、上記に加えて 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本が必要になります。書類収集だけで数週間かかることもあるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

STEP 3家庭裁判所へ提出・照会書に回答する

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、窓口または郵送で提出します。受理後、裁判所から照会書が届いたら回答を返送します。問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が届いて手続き完了です。債権者(貸金業者など)には、受理通知書のコピーを送付して相続放棄の事実を知らせれば足りることが多いです。

一人だけ先に放棄するとどうなる?きょうだいトラブルを防ぐ方法

相続放棄は個人の意思でできる手続きであり、他の兄弟姉妹の同意は必要ありません。しかし、一人だけが黙って手続きを進めるのはリスクがあります

【具体例】長男だけが先に相続放棄した場合

父が亡くなり、子ども3人(長男・次男・三男)が法定相続人。父には1,500万円の借金があった。

本来:長男・次男・三男がそれぞれ500万円ずつ負担

長男だけ放棄すると:次男・三男が750万円ずつ負担(増加!)

次男・三男が相続放棄できる期限内であれば問題ありませんが、長男が黙って手続きを進め、次男・三男が気づかないまま3か月の期限が過ぎてしまった場合、次男・三男は借金を引き継ぐことになります。

トラブルを防ぐための基本は、「放棄を検討していることを早めに兄弟姉妹全員に伝える」ことです。全員が相続放棄をする意向であれば、まとめて手続きすることが最善です。

なお、兄弟姉妹が相続放棄しても、代襲相続は発生しません。つまり、放棄した人の子ども(甥・姪)に相続権が移ることはありません。ただし、きょうだい全員が相続放棄すると相続人不存在となり、相続財産の行方については別途対応が必要になります。

全員放棄した後に残る「3つの注意事項」

相続放棄が受理されれば手続きは完了ですが、相続放棄後も対処が必要な問題が残ることがあります。

⚠️注意① 財産の「保存義務」は残る可能性がある

相続放棄した時点で相続財産を占有(実際に管理・使用している状態)していた場合は、相続財産清算人または他の相続人に引き渡すまでの間、自己の財産と同様の注意をもって保存しなければいけません(民法第940条)。相続放棄したからといって放置することは認められない場合があるということになります。ただし、この保存義務は、あくまで相続放棄の時に占有していた相続財産についてです。一切関与していない相続財産についてまで保存義務はありません。

⚠️注意② 全員放棄すると「相続人不存在」になる

第3順位までの全相続人が相続放棄すると、相続人が誰もいない「相続人不存在」の状態になります。残った財産や借金については、債権者や特別縁故者などの利害関係人が家庭裁判所へ「相続財産清算人」の選任を申し立てれば、相続財産清算人により整理されることになります。なお、この申立てには数十万円〜百万円程度の予納金が必要になるケースもあります。

⚠️注意③ 放棄の審査は1人ひとり個別に判断される

まとめて申立てをしても、裁判所は1人ひとりの状況を個別に審査します。たとえば兄が相続財産を処分してしまい相続放棄を却下されても、その事実が弟の相続放棄に影響することはありません。弟についは、弟自身が相続財産を処分したかどうかが問題となるのです。

よくある質問(Q&A)

Q. 兄弟姉妹の1人が遠方に住んでいて、一緒に裁判所へ行けません。どうすれば?

A. 相続放棄の申立ては郵送でも手続きができます。全員がバラバラの場所から郵送で申立てることも可能ですが、戸籍類を誰が集めるのか、裁判所からの照会にはどのように回答するのかなど不安があるのではないでしょうか。遠方に兄弟姉妹がいる場合であっても、弁護士であれば、戸籍類の取得、申述書の作成、裁判所の照会への回答をまとめて依頼することができます。

Q. 兄弟姉妹の1人が「放棄したくない」と言っています。他の兄弟姉妹だけで放棄できますか?

A. はい、できます。相続放棄は個人の権利ですので、他の相続人の同意は不要です。ただし、相続放棄しない兄弟姉妹は引き続き相続人となりますので、借金も含めて相続することになります。

Q. 借金の存在を知ったのが3か月後でも、相続放棄はできますか?

A. 相続放棄の3か月の期限は「相続開始を知ったときから」が起算点です。被相続人の死亡から時間が経っていても、借金の存在を知ったタイミングによっては相続放棄が認められる場合があります。ただし、状況によって判断が変わりますので、早めに弁護士へご相談ください。

Q. 兄弟姉妹で戸籍謄本を1通しか取っていません。全員分に使えますか?

A. 家庭裁判所へ提出する同じ戸籍類は1通で足ります。兄弟姉妹で共通する戸籍類はお互い確認して1通だけ提出すればよいでしょう。

まとめ|兄弟姉妹がまとめて放棄するなら早めの連携が鍵

この記事のポイントを整理します。

同順位の兄弟姉妹であればまとめて相続放棄が可能。書類の節約・トラブル防止のメリットがある

「親が亡くなった場合の子ども(第1順位)」よりも「きょうだいが亡くなった場合の兄弟姉妹(第3順位)」の方が必要な戸籍類が多い

申述書は個人ごとに1通ずつ必要。共通する戸籍類は1通でOK

一人だけ黙って相続放棄すると後日他の兄弟とトラブルになる可能性がある。事前の情報共有を検討する

全員相続放棄後も財産の保存義務が残ることがある。状況によっては相続財産清算人の選任申立ても必要

3か月という期限のある手続きですが、書類収集やきょうだい間の調整に時間がかかることが多いのも事実です。「とりあえず自分で動いてみよう」と考えている方も、まずは一度専門家に状況を話してみることをおすすめします。

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