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相続放棄で「やってはいけないこと」5選!形見分けや家賃支払いはNG?


「お父さんの形見の時計、もらっていい?」「家賃が払えなくなるから解約したい」――相続放棄を考えているとき、こんな行動が放棄を無効にする落とし穴になることをご存じですか?

相続放棄には「やってはいけないこと」が明確に存在し、知らずにうっかり行ってしまうと借金をすべて引き継ぐことになりかねません。この記事では、弁護士が実際の相談事例をもとに「絶対NGな行為5選」と「実はOKな行為」をわかりやすく解説します。

📋 この記事でわかること

なぜ「やってはいけないこと」があるのか(法定単純承認の仕組み)

絶対NGな行為5選(具体例つき)

実はOKな行為(生命保険金の受取り・形見分けなど)

うっかりやってしまった場合の対処法

なぜ「やってはいけないこと」があるのか?法定単純承認の仕組み

相続放棄でNGな行為が存在する理由は、「法定単純承認」という制度にあります。

法定単純承認とは、相続人が一定の行為をした場合に「相続を承認した(すべて引き継ぐ)とみなす」ルールです(民法921条)。

⚠️法定単純承認が成立すると…

たとえ家庭裁判所に相続放棄の申述をしていても、放棄が無効になります。被相続人の借金・未払い税金・連帯保証債務など、すべてのマイナス財産を引き継ぐことになります。

「少しくらい使ってもいいだろう」という安易な気持ちでやってしまったことが、大きな後悔につながる可能性があるのです。

【絶対NG】相続放棄でやってはいけないこと5選

NG①:亡くなった方の預貯金を引き出す

「しばらくの生活費として使いたい」「立て替えたお金を回収したい」という理由で、故人の銀行口座からお金を引き出すことは、相続財産の処分行為とみなされる典型的なNG行為です。

実際によくある相談ケース

父が亡くなった直後、母が生活費のために父名義の口座から50万円を引き出した。その後、父に多額の借金があることが判明し、相続放棄を申請したが「財産処分あり」として認められなかった。

「引き出しただけで使っていない」「後から戻した」という場合も油断は禁物です。戻した場合はリスクが下がることもありますが、確実とは言えません。相続放棄をする予定であれば口座には一切手をつけないほうが良いでしょう。

NG②:不動産を売却・解体・名義変更する

故人が所有していた家・土地・建物などを売ったり、解体したり、自分名義に変更する行為は財産処分の典型例です。相続放棄前はもちろん、放棄後も行ってはいけません。

実家を「どうせ誰も住まないから」と先に売却手続きを進める

老朽化した家屋を「危険だから」と勝手に解体する

「相続放棄するつもりだけど」と言いながら不動産業者に査定を依頼し、売買契約を結ぶ

老朽化した建物でも、倒壊を防ぐための最低限の修繕(保存行為)は原則OKです。ただし「全面リフォーム」など価値を高める行為はNGになるケースがあります。

NG③:価値のある相続財産の形見分け・売却

「形見分け」は日本の慣習として広く行われていますが、経済的価値のある財産を分けることは財産処分とみなされる可能性があります。

形見分け:OKとNGの目安
✅ OKの可能性が高い ❌ NGの可能性が高い
古い日用品・衣類(経済的価値なし) 高級腕時計・貴金属・宝石類
写真・アルバム・日記 絵画・骨董品・コレクション
思い出の品(財産価値なし) 自動車・バイク(売却含む)

遺品をフリマアプリやリサイクルショップで売ることも、財産処分にあたる可能性があります。価値があるかどうか迷ったら、手をつけずに弁護士に相談するのが安全です。

NG④:故人の財産から借金などを支払う

故人に対して届いた請求書について、「払わないと滞納になる」という焦りから、故人の口座から現金を下して支払ってしまうケースがあります。これは相続財産の処分にあたります。

⚠️注意:まずは業者や大家さんなどの債権者に相続放棄を検討中である旨を伝え、支払うことができない旨を伝えましょう。なお、相続財産の中からではなく、「自分のお金から払った」場合であれば、相続財産の処分ではないので、法定単純承認にはなりません。

賃貸物件の解約手続きも同様で、相続放棄完了前に解約すると「賃借権を処分した」とみなされるリスクがあります。大家さんや管理会社には、相続放棄をするので解約や残置物の処分などには協力できないため、他の相続人または相続財産清算人と話し合うよう伝えてください。

NG⑤:3か月の期限を「なんとなく」やり過ごす

相続放棄には「相続があったことを知った日から3か月以内」という厳格な期限があります。この期限を過ぎると、法定単純承認が成立し、相続放棄ができなくなります(民法921条2号)。

「まだ時間があるから」と相続放棄の手続きを後回しにしていたら期限が過ぎてしまった

「家族で話し合っているうちに」3か月が過ぎてしまった

「遺産分割協議で放棄すると伝えた」だけで家庭裁判所で正式な手続きをしなかった

財産調査が間に合わない場合:家庭裁判所に対する「期間伸長の申立て」により、3か月の期限を延ばすことができるとされています。ただし、延長が認められるためには、本来の熟慮期間中に相続財産の有無や内容の調査を終えることができない合理的理由が必要とされています。期限が迫っている場合は早めに弁護士に相談を。

実はOK!相続放棄前後にやっても問題ない行為

「何もできないのでは」と不安になる方もいますが、以下の行為はOKです。

腐敗しやすい物の廃棄

冷蔵庫の中身や生ごみなど、放置すると衛生上問題となるものを廃棄することは「保存行為」として処分にはあたりません。

建物の最低限の修繕

雨漏りの修理や、老朽化した建物が倒壊しないよう最低限の補修をすることは「保存行為」として処分にはあたりません。

生命保険金・死亡退職金の受け取り

受取人が指定されている生命保険金や死亡退職金は、相続財産ではなく受取人固有の財産のため、受け取っても相続放棄に影響しません。

経済的価値のない遺品の形見分け

写真・日記・思い出の品など、経済的価値のない物の形見分けは処分にあたらないとされています。

うっかりやってしまった…その場合はどうする?

「知らずにやってしまった」という相談は非常に多いです。焦らず、まず以下を確認してください。

1「処分」に該当するか確認する

すべての行為が即アウトではありません。経済的価値がなかった、保存行為に該当する、慣習的に認められる行為だったなど、相続放棄が有効とされるケースもあります。

2引き出した預金は可能な限り戻す

口座が凍結されていない場合は、引き出した金額を口座に戻しておきましょう。戻せない場合は封筒などに入れて保管し、弁護士に相談してください。

3すぐに弁護士に相談する

処分行為があっても、状況次第では相続放棄が認められることがあります。「もうダメだ」と諦める前に、必ず専門家に相談してください。3か月の期限が迫っている場合は特に急いでください。

まとめ:迷ったら「触らない・相談する」が鉄則

相続放棄でやってはいけないことをまとめます。

預貯金の引き出し・使用

不動産の売却・解体・名義変更

価値のある形見分け・遺品売却

故人の財産の中から借金などを支払う

3か月の期限を無視する(期限切れ・手続き未完)

どれも「ちょっとくらい」という気持ちで起こりがちなミスです。迷ったら、触らずに1日でも早く弁護士に相談してください。

「やってはいけないことをしてしまったかも…」

諦める前に一度ご相談ください。状況によっては相続放棄できるケースも多くあります。
せせらぎ法律事務所では、弁護士が直接対応。初回相談無料・全国対応です。

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