交通事故【タクシー代は請求できるか~通院交通費について】
2018.08.06更新
人身事故の被害にあった場合,加害者側の保険会社に通院交通費を請求することができます。
そのため,当事務所では,皆様の通院した病院を伺うとともに,それぞれの病院への交通手段を伺っています。
■徒歩・自転車
病院までの通院が,徒歩・自転車による場合は交通費は請求できません。
■自動車・バイク
自動車・バイクによる場合は,ガソリン代を請求することができます。
ガソリン代は,実務上病院までの距離を1km15円で計算して請求しています。
距離の計算は,当事務所ではGoogleマップを利用しています。
病院に通院する際にコインパーキングに停車させたような場合にはその駐車代も認められます。
なお,病院が通勤途中にあるような場合には,通院費としては認定されません。
■電車・バス
電車・バスの場合は,かかった交通費を請求することができます。
通常は領収書などは必要としません。
■タクシー
それでは,通院にタクシーを利用した場合,タクシー代を請求することはできるでしょうか。
タクシー代については,必要性,相当性がない限り認められません。
たとえば,足を骨折しているために,電車・バスの利用が困難な場合です。
頚椎捻挫などの場合に,事故から約3週間,自動車を運転することも,ある程度の距離の歩行を伴う電車等の利用も困難であったとしたうえでタクシー代を認定した裁判例もありますが(横浜地判平成30年3月23日),必要性,相当性が認定されたケースであり,一般的には難しいと考えておいた方が良いでしょう。
骨折等の事情はなくても,電車・バスが近隣に通っていないため,タクシーを利用せざるを得ないケースでは,そのような交通事情を証明できれば保険会社が応じることもあります。
当事務所でも,公共交通機関を利用しようとすると,明らかに遠回りとなり通院に長時間を要する場合に,Googleマップなどで交通事情を証明して,保険会社がタクシー代を認めたケースがあります。
裁判例の中にも自宅から駅まで徒歩で1時間かかってしまう場合に,タクシー代を認めたものがあります(大阪地判平成7年3月22日)。
保険会社が通院にタクシー代を認めたとしても,通院以外の日常生活でのタクシー利用,たとえば買い物へタクシーで行った場合などには,保険会社は簡単には応じないことが多いでしょう。
そのため,通院以外の外出にタクシーを利用する場合には,事前に保険会社に確認することをお勧めしています。
なお,保険会社が,通院でのタクシー代を認めない場合でも,電車・バスを利用したものとして計算した交通費を限度に支払いに応じることは多いと思います。
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