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2024.06.04更新

醜状痕とは?交通事故による醜状の後遺障害や等級認定について解説!

醜状痕とは?交通事故による醜状の後遺障害や等級認定について解説!

交通事故で「醜状痕(しゅうじょうこん)」すなわち傷跡が残ってしまう場合があります。顔面はもちろん、腕や足であっても、傷跡が残ると日常生活だけでなく仕事にも影響を及ぼすケースがあるでしょう。
一定の大きさの醜状痕については、後遺障害の認定対象になります。ただし、思ったように等級が認定されなかったり、逸失利益を否定されたりするケースが少なくありません。
この記事では、交通事故による醜状痕で認定される後遺障害等級や、認定のポイントなどについて解説しています。

醜状痕とは

醜状痕とは、ケガやヤケドを原因とする傷跡が、消えずに残ったものです。交通事故による醜状痕は、程度によっては「醜状障害」として後遺障害の認定対象になります。
かつては男女で基準が異なっていましたが、現在は同一の認定基準で判断されます。

醜状痕が認定される部位

醜状痕による後遺障害が規定されている部位としては、外貌と上肢・下肢の露出面です。

・外貌

外貌とは、腕や足以外で、頭・顔面・首といった日常的に露出している部分のことです。
交通事故により外貌に人目につく傷跡が残ってしまうと、精神的ショックが大きく、場合によっては、仕事にも影響が生じる可能性もあります。そのため、「外貌醜状」と呼ばれる後遺障害の認定対象となっています。

・上肢・下肢の露出面

上肢の露出面は上腕から指先までを指し、下肢の露出面は太腿から足の背(足の甲)までを指します。
上肢や下肢の露出面の傷跡も、交通事故における後遺障害の認定対象です。

外貌醜状の程度と認定される可能性のある後遺障害等級

外貌醜状については、以下の後遺障害等級が認定される可能性があります。

7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号 外貌に醜状を残すもの

醜状の程度によって認定される等級が変わります。具体的なルールをそれぞれ詳しく見ていきます。

外貌の著しい醜状

7級12号の「著しい醜状」とは、以下のいずれかをいいます。

  • 頭部:「手のひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕」または「頭蓋骨の手のひら大以上の欠損」
  • 顔面部:「鶏卵大面以上の瘢痕」または「10円銅貨大以上の組織陥凹」
  • 頸部(首):手のひら大以上の瘢痕
  • 「手のひら大」とは、指の部分を除いた手のひらの大きさです。本人の手のひらを基準にします。

    「瘢痕」は、簡単に言うと傷跡のことです。

    外貌に相当程度の醜状

    9級16号の「相当程度の醜状」とは、長さ5cm以上の線状痕を指します。
    線状の傷跡であり面積としては大きくなく、「著しい醜状」よりは下位の等級とされています。

    外貌に単なる醜状

    12級14号の「醜状」とは、以下のいずれかで人目につく程度以上のものをいいます。

    • 頭部:「鶏卵大面以上の瘢痕」または「頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損」
    • 顔面部:「10円銅貨大以上の瘢痕」または「長さ3cm以上の線状痕」
    • 頸部(首):鶏卵大面以上の瘢痕

    大きさとしては少し小さくなりますが、他人からわかってしまう傷跡です。

    外貌醜状の等級を判断するルール

    外貌醜状の認定基準は大まかに上記の通りですが、いくつか細かいルールがあります。

    ・人目につく程度以上のものであること

    いずれの等級についても、傷跡が人目につく程度以上のものである必要があります。眉毛や髪の毛に隠れており、他人から見えづらい傷跡では等級は認定されません。

    ・醜状に含まれる範囲

    認定の対象になるのは、事故により直接生じた傷跡に限られません。事故の治療過程で生じた手術の痕や、ヤケドが治った後の色素沈着による変色や色素脱出による白斑なども、人目につく程度以上のものであれば対象になります。

    ・2つ以上の傷跡がある場合

    複数の傷跡があり、隣接するなどしていて遠目から見て1つの醜状と判断できる場合には、面積や長さを合計して等級を判定します。たとえば、顔面に長さ2cmの線状痕が2つ隣接していて1つの傷跡と同様だと評価できるときには、「長さ3cm以上の線状痕」として12級14号を認定できます。

    眼・耳・鼻の欠損障害と醜状障害の関係

    交通事故により眼(まぶた)・耳・鼻が欠けてしまうことを「欠損障害」といいます。欠損障害と醜状障害のいずれにも該当する場合には、双方の等級を比較して上位の等級が認定されます。

    ・耳

    耳の場合、耳介の軟骨部の1/2以上が欠けると、耳介の欠損障害としては12級4号ですが、同時に「著しい醜状」として7級12号にも該当するため、上位等級の7級が認定されます。また、耳介の軟骨部の一部が欠けたに過ぎず耳介の欠損障害を認定できなくても、「(単なる)醜状」として12級14号の認定が可能です

    ・鼻

    鼻については、軟骨部の全部または大部分が欠け鼻呼吸困難または嗅覚脱失などの症状があると、鼻の障害としては9級5号ですが、同時に「著しい醜状」として7級12号に該当します。鼻の一部が欠けたときには、鼻の障害を認定できなくても、「(単なる)醜状」として12級14号の認定が可能です。

    ・眼

    眼(まぶた)については、両目のまぶたに著しい欠損を残すときには9級4号、片目のまぶたに著しい欠損を残すときには11級3号が認定されます。「著しい欠損」とは、まぶたを閉じたはずなのに黒目を覆いきれない状態です。
    両目のまぶたの一部に欠損を残す又はまつげはげを残すときは13級4号、片目のまぶたの一部に欠損を残す又はまつげはげを残すときは14級1号が認定されます。「一部に欠損」とは、まぶたを閉じたときに黒目を完全に覆えるものの、白目は覆いきれない状態です。
    眼(まぶた)において欠損障害と同時に醜状障害に該当する場合にも、より上位の等級が認定されます。

    上肢・下肢の露出面の醜状の程度と認定される可能性のある後遺障害等級

    上肢・下肢の醜状痕については、以下の認定基準が定められています。

    14級4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
    14級5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

    上肢・下肢の露出面の醜状

    「上肢の露出面」とは、上腕から指先までを指します。上肢の露出面に手のひらの大きさの傷跡が残っていれば、14級4号に該当します。
    「下肢の露出面」は、太腿から足先までを指します。下肢の露出面に手のひらの大きさの傷跡が残っていれば、14級5号に該当します。
    また、上肢・下肢いずれについても、手のひらの大きさの3倍程度以上の傷跡が残っているときには「特に著しい醜状」として「12級相当」とされています。
    なお、労災保険の障害認定においては「露出面」の範囲がそれぞれ肘より先、膝より下とされており、交通事故とは異なるので注意してください。

    日常露出しない部位の醜状

    日常露出しない部位(胸部・腹部・背部・臀部)の醜状痕についても、認定の対象です。具体的には、胸腹部、背臀部の醜状痕について以下の基準で等級が認定されます。

    • それぞれの全面積の1/2程度以上の範囲に及ぶ→12級相当
    • それぞれの全面積の1/4程度以上の範囲に及ぶ→14級相当

    醜状痕による逸失利益の認定

    醜状痕で後遺障害等級の認定を受けたときには、逸失利益が問題になります。
    逸失利益とは、将来得られるはずであったのに、障害の影響で得られなくなった収入をいいます。この点、醜状痕があっても身体が動くのであれば、仕事そのものには影響がなく収入が減らない場合が多いとも考えられます。
    もっとも、醜状痕により労働に支障がある場合もあります。たとえば以下のケースです。

    • 俳優、モデル、ホスト、ホステスなど、容姿が重要な職業に就いている
    • 販売店員、保険外交員など、接客を伴う職業に就いている
    • 醜状痕を理由に営業ができなくなり、配置転換を強いられた
    • 子どもに醜状痕が残ったため、就職に支障がある

    相手方から「逸失利益は認められない」との主張がなされたときには、仕事への影響を証明しなければなりません。弁護士に依頼して、説得力のある反論をする必要性が高くなります。

    醜状痕の等級認定を受けるためのポイント

    醜状痕で等級認定を受けるためには、以下のポイントに注意してください。

    症状固定後速やかに申請する

    醜状痕の後遺障害申請は、症状固定後速やかに行ってください。時間が経つと傷跡が薄くなり、妥当な認定を受けられなくなるおそれがあります。
    また、事故によって傷跡が生じたことを説明できなくなる事態を避けるため、事故から間もない段階で患部を撮影しておきましょう。
    他に重大なケガをしていると、醜状痕への対応が疎かになってしまう場合もあります。忘れずに申請するようにしてください。

    認定手続きのための面接を受ける

    後遺障害の認定手続きは、通常は書面審査です。もっとも、醜状痕は写真だけではわかりにくいため、一般的に面接調査が行われます。
    醜状痕で後遺障害認定を獲得したいときには、必ず面接調査を受けるようにしましょう。

    面接調査に弁護士にも同行してもらう

    面接調査においては、実際に醜状痕の大きさや状態を確認されます。しかし、担当者によって考え方が異なる場合があり、間違った判断がなされる可能性も否定できません。
    弁護士が面接調査に同行すれば正しく状態を説明できるので、適切な等級を認定してもらいやすくなります。

    まとめ

    ここまで、交通事故による醜状痕で認定される後遺障害等級や、認定のポイントなどについて解説してきました。
    醜状痕が残ってしまった場合、7級、9級、12級、14級に認定される可能性があります。正しく等級認定を受けたうえで、個々の事情に応じて仕事への影響を証明することが重要です。
    「自分の場合は何級が認定されるか知りたい」「相手から逸失利益を否定されている」などとお悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士のサポートが必要になりますので、弁護士法人せせらぎ法律事務所東京立川支所までお気軽にご相談ください。

    弁護士代表 飛田 貴史(とびた たかし)

    この記事の監修

    弁護士代表 
    飛田 貴史(とびた たかし)

    この記事の監修

    弁護士代表 飛田 貴史(とびた たかし)

    所属弁護士会 第二東京弁護士会
    登録番号 46497
    経歴
    • 1993年 中央大学付属高校卒業 中央大学法学部入学
    • 2009年 東洋大学法科大学修了
    • 2010年 司法研修所入所(64期)
    • 2012年 弁護士登録
    • 2015年 「せせらぎ法律事務所東京立川支所」を開設

投稿者: せせらぎ法律事務所